指導・セミナー

2015年10月15日 (木)

十字固めの打ち込み(スイッチ式)

拙著では「寝技の打ち込み・腕挫十字固(カナダ式)」と紹介している技術です。
なぜカナダ?と思われるので今回は「スイッチ」と表現しました。
この打ち込みはバンクーバーに行ったとき、
カナダ人指導者のスティーブ先生から教えてもらいました。

十字固を施す際、上手くできない人ほど腰高でスキマができてしまいます。
逆に私は稽古相手から「密着度が高い」と言われます。
立技には「間合い」があり、そこに崩しがあります。
寝技にも「間合い」があり、この場合は密着している(スキマが無い)ほど良いです。

手捌きだけ誤らないようにし、あとは受取で1点ずつ注意して取り組むようにしてください。
この打ち込みができるようになれば、密着度が高まり、逃れられにくい十字固ができるようになるでしょう。

1.腰の低い位置を保つ
2.受は相手を引き起こして助ける

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2015年10月12日 (月)

関節技の技術紹介

私の高校時代、関節技は禁止でした。
禁止というのは校内限定のルールです。
なぜ禁止かというと、抑込技や絞技は連続性がある反面、
関節技は失敗すると形勢逆転してしまうことが多いからです。

技術を2つに絞ることで、抑込技の基礎と絞技が徹底されました。
しかし、全くやらないとそれはそれで不便です。
ジャンケンで例えるところの「グー無し」でやっているようなものです。
それぞれの技術には特徴があり、それぞれをバランスよく身につけることで
攻撃の連続性、多様性が育まれるのだと思います。

私が関節技に取り組み始めたのは大学4年生の夏頃からです。
それまでは関節技を狙うことはもちろん、防御法もよく分かっていませんでした。
どこで誰に教わるということもないので、ひたすら自分で考えました。
ブラジリアン柔術に取り組み始めたきかっけも、当初はそれが目的でした。

柔道には投技に比べると、固技の指導法があまり普及していません。
関節技は特に単独の技術として普及しているものはありますが、
順を追ってステップアップしていく方法がありません。

そんな理由から、試験的に関節技の技術、打ち込み方法を紹介していきます。
現在は単発ですが、いずれは系統立ててまとめていこうと思います。






柔道・関節技入門(全14本)連続して視聴することができます

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2014年12月22日 (月)

2014静岡県小学生寝技教室

何かと縁のある静岡県、今回で3回目となりました静岡県柔道連盟主催の
寝技教室を行ってきました。対象は小学生300人と指導者の皆さんです。

主催者側より「基本を徹底に」ということで、エビと腰キリ、
引き込みからの足捌き、体捌きを指導しました。
流行の技よりも、中高生になっても生きる体捌きをと言うことで
「寝技の体捌きを身につけるための打ち込み」をじっくりやらせて頂きました。

後半の質疑応答では沢山の質問があり、
最後に杉山先生と「固の形」を演じさせて頂きました。

今回、右足ふくらはぎを負傷中ということもあり「絞技・関節技の披露」
は次回以降に持ち越しとさせて頂きました。
また来年もと言うことでしたので、来年はもっと踏み込んだ内容でご紹介したいと思います。

指導者の皆様、運営に携わった先生方、
打ち上げを企画して頂いた皆様、ありがとうございました!
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2014年12月 9日 (火)

技を作るのは打ち込み

ジュニア強化選手時代、合宿では散々打ち込みをした。

コーチ曰く「技を作るのは打ち込み」とのこと。

私自身、投技が苦手だったため試行錯誤しながら必死になって打ち込みをした。
打ち込みは決して、準備運動の一環ではない。

まずは理に適った動きで、早く、力強く
それを身体が覚えるまで繰り返し反復するのだ。
(いい加減な打ち込みをするなら、変な癖がつくのでやらない方が良い)

さらには喧嘩四つ、相四つ、動きながら、複数の技を組み合わせ、
また相手の技に応じて等、バリエーションを豊富にしていく。

それは寝技でも同じことだ。
なぜか寝技の打ち込みは大ざっぱ数回しか行われない。
投技の打ち込み100回くらい誰でも行っているが、
寝技は10回行わない日もあるのではないだろうか?

寝技の打ち込みでも大切なのは立ち技と同じだ。
正確に、早く、力強く、そしてバリエーションを豊富にする。

技術が身についていないウチは乱取りなんて少しで良い。
様々な状況を設定し、バリエーションを豊富にする。是非そこに腐心して欲しい。
必ずしも寝技の打ち込みを寝姿勢から行う必要は無い。
言わずもがな、柔道は立ち姿勢から始まるからだ。

最近私はこう考えている。

  1. 理合いを学ぶのが「形」
  2. 技を練るのが「打ち込み」
  3. 技の乱れを取るのが「乱取り」

嘉納師範が講道館柔道を創設後、普及するにしたがって直接指導する機会が減ったという。
そこで効率的に技の理合いを伝える術として「形」の指導が行われた。
「形」には技の理合いが凝縮されている。
「固の形」をしっかり演じることができれば、それはすでに相当な技量を有していると言っても過言ではない。

形の所作を省略(簡略化)したのが「打ち込み」とも言える。
「形」で理解し、「打ち込み」で身体に染みこませる。

現在の稽古は「乱取り」に偏向しているように思う。
もう一度、打ち込みと形を見直して頂きたい。




余談だが、最近、私が指導のテーマにしているのが「寝技の打ち込み」だ。
特定の「スペシャルな技」ではなく、必要な『体捌きを身につける打ち込み』を
考案している。

なぜそんな動き方をするのだ、なぜそこでこう動けないのだ?
自分にできて、選手にできない動きとは何なのか?
テーマを与えてくれるのは選手や、生徒たちだ。

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2014年11月20日 (木)

抑え込みのコツ(スーパー横四方固)

ん私は度々「抑え込みが強烈」だとか「圧力が凄い」と言われる。
ウエイトトレーニングは全くやらない主義だが、
稽古で培った体力は平均以下ではないだろう、ある方だと思っている。
しかしそのこと自体が、圧力に直結しているとは考えていない。
つまりはウエイトトレーニングをして体力がつけば
「抑え込みが強烈になり圧力が増すか」と言うと、そう簡単なものではない。

そこに技術の差がある。

抑え込みには幾つかの要点がある。

1.首や肩など、上半身の一点を固定する
2.つき立ての餅、うどんを捏ねるように圧する
3.逃げる方向を予測して変化する


横四方固を例にして説明する。
ブラジリアン柔術でいえばサイドポジションと考えて欲しい。

1.抑え込みの定義として、背中や肩を畳に着かせていなくてはならないので、
足三角などを除いては上半身を固定する。
ただ乗りかかるだけの抑え込みは、これが欠けていることが多い。
顔の向きや肩の動きを制限することは、相手の動きを制限することに繋がる。
つまりは逃れる方向を制限するため、抑える方としては応じやすくなる。

2.ある書物には「抑え込みはつきたての餅のように」と極意が書かれており、
20代の私は衝撃を受けたことを今も覚えている。
チカラが入り過ぎてカチカチの状態ではすき間が生じやすく、
相手のチカラを直接受けてしまう。
1.の如く相手の1点を制してしまえば、あとはむしろ力を抜き、
すき間を埋めることに専念すれば良い。
また私は相手をうどん粉としてイメージし、
自分の胸でうどんを捏ねるように圧するようにしている。
要は真上から圧するのではなく、下から擦り上げるようにするのだ。

3.固の形の強化合宿で「そんなに軽々しく動くべきではない」
と言ったのはかつて重量級だった指導者だ。
体格によって得意な投技が違うように、抑込技においても、
ガッチリ抑えたら殆ど動く必要のない重量級と、軽量級では抑え方も異なる。
腰が低い位置にあることは勿論だが、相手の逃げる方向に回り込む準備、
身体のいずれかの部分で相手の鉄砲返しに応じる準備も忘れてはならない。
その際、ひとつの抑込技にこだわる必要はないし、抑込技だけにこだわる必要もない。 (絞技、関節技に繋げれば良い)こだわるべきは「一本をとること」であるべきだろう。

以上、抑込技の要点を3つほど示した。「抑え込みの質」を考えたキッカケは、
名古屋大学とブラジリアン柔術の対抗戦だ。
我々柔術家チームは抑込技で勝つことがなかった一方で、
ほとんどの敗戦は抑込技だった。
ルールが違うから技術が異なるのは当たり前だが、
抑え込み(サイドポジション)の質が上がることはブラジリアン柔術家にとっても
有益なのは間違いないだろう。
難しいことは考えずまず肩のチカラを抜くことから試してほしい。
投技においても巧い選手ほど、力みのない動きをする。
抑込技においても同じことが言えるだろう。

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2014年11月15日 (土)

移動しないエビ

エビで重要なことは後方に移動することではない。
必要な場面で腰の位置を変え、空間を作ったり横向きになることである。

そのためには単に後方へ移動するエビを反復するのではなく、
今回紹介する「移動しないエビ」をオススメする。

ポイントは「対角線上にある2点で身体を支える」ことにある。
これが必要な場面でより早く、大きな動作でエビができるだろう。


またエビを単なる、寝技の補強トレーニングだと思っている現役選手は多い。
なぜそうなるのかといえば、前述の通り。
「どの場面で、どのように使うのか」を説明していないからだ。

実際、私が指導する場面ではエビや腰切りといった基本動作が多く使われる。
是非、以下の反復練習も併せて行って頂きたい。

エビと腰きりを応用した打ち込み(袈裟固編)


エビをつかった打ち込み(横四方固編)

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2014年11月 2日 (日)

テッポウ返し

国際ルールにおいて、2014年から正式に「抑え込みが20秒で一本」となった。
30秒から25秒、20秒と短縮されてきた抑え込みは今後も短縮される可能性を否定できない。

あくまで私見だが、現在、固技は寝際を重視したシンプルな技術が流行している。
それほど練られていないと思われるような技術であっても一本に繋がるのは、
逃れる技術もまた練られていないためだろう。

その背景には、下半身への攻撃を一切禁止するといった急なルール改正により、
攻撃の糸口を固技に見いだすしかなかった苦しい懐事情も窺える。

ところで、私は抑込技を指導する際「テッポウ返し」の打ち込みを欠かさない。
受講者は「逃げ方よりも抑え方」を欲するのだが、それには訳がある。

前述の通り、抑え込み時間が短縮され、未熟な抑込技でも一本が取れるようになった。
これは逃れる技術も未熟であることが原因であると考えられる。
だからこそ、鉄砲返し(逃れ方)を学ぶのだ。

抑えては返され、返して抑え込む。

 

なんども繰り返す中で、抑え込む際に不可欠な重心の位置、
返されてしまう方向を身体で覚えるのだ。
結果的に抑込技の安定感は向上するだろう。

ところで「テッポウ返し」の語源とは何だろう?
美味しそうに見えて軽く食いつくと痛い目に遭う「ふぐのテッポウ」が由来という説
返そうとする様がそのまま鉄砲(テッポウ)を握ったような体勢だからという説
それぞれあるが、明快な答えはまだない。

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2014年10月 7日 (火)

後ろ手状態からの攻め方

2014年にロシア・チェリャビンスクで開催された世界柔道選手権。
同年より施行された「組み合う」ことを励行したルール改正により、
がっちりと組み合う中での攻防が多く展開された。

これにより投げられた試合者が容易に俯せになることができず、
引き手が残った状態、つまり「後ろ手」状態が散見された。

※特に女子の試合で多くみられるように思う。

この「後ろ手」状態は一見すると関節技の好機に見えるがそうではない。
逮捕術の要領で抑込技に移行することが最も合理的である。

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2014年2月25日 (火)

続・技術の習熟度「伝える」

以前「技術の習熟度」というタイトルで「わかる・できる・つかえる」
というコラムを書いたことがあります。

拙著「柔道固技教本」にも同じような内容を掲載しました。
http://komlock.cocolog-nifty.com/5669/2009/09/post-b16d.html

最近、指導者として更にその先があることに気が付きました。
その次の段階とは「伝える(教える)」という領域です。
「つかえる」とは主に選手まで、そこが終わって指導者になったとき、
自分の技術をいかに伝えるか(教えるか)が指導者の力量になってきます。

ある完成した技術を100と仮定します。
まず自分の技はもとより、伝えるべき技術を分解できなければいけません。
例えば伝える相手が白帯であれば、今日は「1」明日は「2」という風に、
徐々に徐々にステップアップしていきます。
それが大学生なら「10」「20」と大きく区切っても良いでしょう。
最初の導入の時点でそこを見抜き
「この選手にはこれくらいの区切り方で段階指導していく」というのは
とても重要なことだと思います。

だからいきなり100全部教えない
「教えすぎない我慢」「喋りすぎない我慢(簡潔でストレートに伝える)」
というのもまた重要なことだと思います。

そしてこれらに更に「伝え方」が重要だと考えています。
例えば重要なところは大きな声で、更に2回言うとか。
話し方としての伝え方。

またある強化選手との会話でこんなことがありました。
「学生の時は寝技なんか必要ないと思っていました」

この状態の選手に技を伝えるのは困難で、吸収力も低いわけです。
そんな選手にはその必要性を説く方が先決で、実際にはその選手は
自分が「必要だと気付いた」時に私がいたことで、
それまでの数倍のスピードで吸収し伸びていきました。
伝えることにはタイミングも重要だと言うことに気が付きました。

そしてもう一つ、敢えて書きますが、自分の得意技を教えるのもせいぜい
現役が終わって数年程度だと思います。
その後、何十年もそれを教え続けるのは、毎年のようにルール改正がなされている
現代柔道界にあっては無理があると思います。
指導者としての研鑽に疑問を持たれても仕方がありません。

実際、都市大学付属中高柔道部の生徒はもちろんですが、
各所でセミナーをしても袖車絞やコムロックを教えることは基本的にはありません。
(もちろん、要望があれば応えます)
なぜなら、あの精度まで到達するには段階があり、
それを無視していきなり最高到達点に挑むのはやはり無理があるからです。

私が教えるのはまず裾野、土台です。
土台さえしっかりしていれば応用が利くようになり、
精度が高く、オリジナリティのある技に昇華していきます。

そういった様々な視点、方法をもって「伝える」ことで、技術はまた新たな人に伝えられ、
発展していくのだと思います。

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2013年11月14日 (木)

抑え込み20秒で一本(エビを使った打ち込み)

どうやら国際ルールで試行されている新ルールが正式に導入される見通しだ。
今回の改正は「しっかり組み合って一本を競い合う」「ジャケットレスリングからの脱却」
というテーマをこれまで以上に強く推進した、競技色の強い改正だ。

他方で、個人的には鉄板だと思われたレスリングが、五輪種目から除外される危機に直面した。当然ながら柔道も安泰ではない。
五輪種目として生き残るためには観る側、やる側にも配慮した「進化」をしていかなくてはならないのだろう。

その改正の中で、私の知る限りでは特に深い議論をされることもなく、
言わばすんなりと「抑え込み一本の時間が5秒短縮された」
つまりは20秒で一本となる。

今や殆どの大会で扱われなくなってしまったが、講道館ルールとの差は10秒と拡がった。
講道館ルールでは20秒で「有効」となる技が、国際ルールでは「一本」となるのだ。
これが投技の評価だったら一大事だ。一本の価値基準が下がったのだから。

私はもっと慎重に議論する必要があったのではないかと考える。
しかしながら柔道において投技と固技の比率は5:5「車の両輪」というのは建前で、
明らかに主と従の関係で成り立っている。
文句ではない。
そもそもが「投技主体の競技」なのだ。
もっと言えば、やる側も、運営する側も、固技に興味があるのは少数派なのだ。

この「抑え込みの5秒短縮」には次のような要因があると考える。

主要因は「逃げる技術の低下」だ。
取る側の固技技術は、日進月歩、進化している。
私が現役時代には考えもつかなかった「腹包み(SRT)」なる技術や、
自ら後転して抑える「加藤スペシャル(阿蘇返し)」も流行し、一世を風靡した。
反則かどうかの問題は別として裾を利用した絞技、通称「ゲルビーチョーク」でイスラエルの選手が世界を制した。

一方で、抑え込みから逃れる技術には殆ど変化がない。
これはらエビやテッポウ返しといった基本的な体捌きを要するものだが、
これらがしっかり出来る選手は思いの外、少ない。
基礎が出来ていないので最初の数秒、力任せに暴れてみてダメなら諦める。
諦めるから攻防がない。
攻防がないからつまらない。
つまらないから短縮。
という経緯ではないだろうか。

そしてメディアやなど、提供する側(IJF)、観る側はつまらない展開は許さない。
だからこその「5秒短縮」だろうか。
私はこの先、更に短縮されるのではないかと予想している。

前置きが随分長くなってしまったが、本題に入る。
抑える固める技術はもちろん大切だが、当然、逃げる技術も不可欠だ。
大事な五輪の場面で、抑え込みの逃げ方1つ出来ていればと後悔した選手もいただろう。

必要な体捌きは「エビ」「腰切り」に殆ど集約できる。
これらの動作は、練習前のアップ代わりに行われることが多く、
しかしそれを実戦でどのように行えば良いのか、分かっていない選手が多い。
そこで今回、2つの打ち込みを紹介する。
下のものはエビを使って、空間を作り、ヒザをねじ込む動作を繰り返す。
上のものは腰切りなどで左右に体を捌き抑え込む。

エビと腰きりを応用した打ち込み(袈裟固編)

エビをつかった打ち込み(横四方固編)

余談ではあるが、私は中学3年生の関東大会で、後に後輩となる生田選手に
抑え込まれて一本負けして以降、約20年以上抑え込みで負けたことがない。
それはまず「亀にならず寝技で組み負けない」ことを徹底しているのと、
「エビ」や「テッポウ返し」が身体に染みついているからに他ならない。
これらの体捌きは足立3中時代、恩師から徹底して鍛えられたものだ。

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