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2014年12月 8日 (月)

手放したチャンス

1999年のこと。
全日本学生体重別、最後のチャンスで優勝した私は、講道館杯で3位入賞した。


その後ハンガリー国際をオール一本勝ちで優勝し、その翌週チェコ国際に挑戦した。
この時、帯同したコーチからこんなことを言われた。

チェコでも優勝したら、2大会連続優勝でA強化になるぞ

オリンピックイヤーの講道館杯、欧州遠征を経て、福岡選抜で代表は決定される。
その大会にA強化で出場する。
つまりそれはオリンピック代表が射程圏内ということを意味する。
それにはチェコ国際でも優勝することが必須条件だった。

階級を変更して1年にも満たない私には勢いがあった。
そして減量もなく、守るものもなく、のびのびと試合をしていた。

チェコ国際でも順調に勝ち進み、準々決勝で
当時、世界的強豪だったレワジシビリ選手と対戦する。

私の競技人生で、ある意味、重要な転機となったこの試合は
開始直後から波乱の展開となる。

いわゆるケンカ四つから片襟片袖の変形組み手で間合いを詰めてきた
レワジシビリ選手に対して、私は片襟だけの体落で投げる。

一本!

主審の宣告に雄叫びを上げた。

そして開始線に戻ろうと顔を上げた瞬間、イヤなものが視界に入った。
椅子に座る副審が水平に腕を上げていた。

(技あり?!)

振り向くと、もう片方の副審が「技あり」のジェスチャーをしていた。

しまった!!!

そう思ったとき、レワジシビリ選手はすでに立ち上がっていた。
そして守るべきもの(技あり)を唐突に保持してしまった私と、
それを追いかけるレワジシビリ選手。
勝敗は時間を1分以上残して決した。

指導の累積4回による「反則負け」である。
なりふり構わない相手の猛烈な組み手に対し、私は応戦できずに組み潰され、
なすすべなく指導を累積してしまった。

疲弊した私は3位決定戦までたどり着くものの、そこでも疲れ果て、
罰則によって敗退、メダルにも届かなかった。

(機関誌「柔道」より抜粋)
0004

指導者になった私が常々言っていることのひとつに
「投げ捨てるな固め技で極めろ」と言うのがある。

投技の評価は審判が主観で行う。
そこは間違えることもあるだろう。
見る角度によって違うこともある。

寝技にはそれがない。
勝ったか負けたかは選手同士で決める。いわゆる「まいった」だ。
唯一「抑え込み」の判断だけは主審に委ねられるが、それほど難しいものでもない。
そして抑え込みの評価は秒数によるものだから判断も簡単だ。

寝業師として、そのことを十分に理解しているはずだったのに。
あのとき、何故私は極めにいかず投げ捨ててしまったのか。
悔やんでも悔やみきれないあの一戦は、私にとって重要な教訓となった。

私が手放したのは相手の襟ではない
私の競技人生に関わる重大なチャンスを手放してしまったのだ

技の評価を決めるのは選手ではない。

投げて一本
固めて一本
二本取り

これを心がけるべきだ。

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