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2011年9月 1日 (木)

攻めの選択・逃げの選択

教員という仕事や、柔道に携わっていると、いろいろな人に出会うようになります。
そしてその人々の転機に接したり、助言を求められることも多くあります。

少し前の話になりますが、かつての教え子からこんなメールが届きました。

先輩は覚えていないかもしれませんが
あの時、柔道部を辞めなくて本当に良かったです

足立学園で講師をしていたときの話です。
教え子であり、後輩でもある生徒が、中学から高校に内部進学する際、
「勉強に専念したいから柔道を辞めたい」と言いました。
足立学園の練習は厳しく、中学3年間を終えて燃え尽きそうになったのだと思います。

実はその時、両親から「辞めないように説得してくれ」と頼まれていましたし、
私自身も「素直に辞めさせてしまうのはもったいない」と思っていました。
いろいろ考えはしましたが、まず私はこう切り出しました。

辞めたければ辞めればいい

不思議に思われたかもしれません。
でも練習の厳しさを知っている先輩だからこそ、ある意味言えた言葉だと思います。

ただこれだけは付け加えました。

もし本当に勉強に専念したくて
柔道が足かせになるなら辞めても構わないと思う
でもそれは【攻めの選択】であって欲しい
決して柔道の練習が辛いから
とりあえず勉強すると言う【逃げの選択】であって欲しくない
もし今ここで逃げることを覚えたら【逃げ癖】がついてしまう
逃げ癖のついた人間は少しのことですぐ逃げてしまうようになってしまう
よく考えて選択して欲しい

結局、前述のように彼は柔道部に残って高校3年間をやりきり、
第一志望で進学した大学でも主将を務めて卒業していきました。

彼にとってはその時が転機だったのだと思います。
そんな重要な一瞬に立ち会うことができのも教師冥利に尽きる一瞬だと思います。

私も高校時代、一度もインターハイに行けなかったことで柔道を辞めようと思いました。
自分の才能のなさ、運のなさに挫折したのです。

学費が賄えないから大学進学を諦めるよう両親から言われたとき、
一瞬は「これで柔道を辞める大義名分ができた」とも思いました。
それでも、最後は逃げる選択をしませんでした。

言い訳なんて、吐いて捨てるほど転がっています。
センスがない
運がない
お金がない
指導者が悪い
環境が悪い
怪我をした

これらのウチ、2つでもあったら周りを納得させるには十分です。
誰も文句は言わないでしょう。

しかし、逆に言えば全て揃っている選手なんて、殆どいません。
むしろそんな選手ほど、才能と時間をもてあまして潰れていく方が多いです。

言い訳をしたり、逃げることに慣れてしまうと、また次の場所でも同じように
言い訳をし、逃げてしまいます。
そしていつかは逃げる場所すらなくなってしまうかもしれません。

私自身、オリンピックや世界選手権には届きませんでしたが、
大学と大学院を自らの力で通いきったことは大きな自信になりましたし、
競技成績も大きく伸びました。

もし人生の岐路に立たされたとき、また挫折しそうになったとき
その選択が【逃げではなく攻めの選択であるか】考えてみるといいかもしれません。

本文とは関係ありませんが、友人が動画を作ってくれましたが、素晴らしい出来映えです。
私が一番好きなのは雪山のシーンですが、これは自分ではないですよ。

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コメント

ご無沙汰しています!いつもブログを拝見しています。

非常に共感する内容だったため、コメントしました。


辞めることはいつでもできる。言い訳もいくらでも転がっている。

しかし、「逃げ道」よりも「回り道」を探せる自分がいるかどうか?

結果の先読みは「逃げ道」しかみつけることができない。

「回り道」には思いがけぬ出会いやきっかけがたくさん転がっている…


そんな指導者であり続けたいですね(*´v゚*)ゞ

投稿: yazu judo | 2011年9月 4日 (日) 20時14分

>yazu judo
コメントありがとうございます。ご無沙汰しています。
迷える後輩や教え子が多く、遠まきにメッセージを伝えたくて書きました。
何か伝わってくれたら嬉しいのですが、果たして…

投稿: 小室宏二 | 2011年9月 5日 (月) 05時51分

素晴しい「メッセージ」ありがとうございます。

中学に入ってケガ続き、きのうの試合では初めて締められ落とされました。

おっしゃる通り、遠まきな「メッセージ」ですが

きっと‘彼’には伝わったと思います。

 Go my surf!

行くっきゃないんです。。。

投稿: スピードマスター | 2011年9月 5日 (月) 12時31分

私の場合の「攻めの選択」は、「やりたい・なりたい」ではなく「やる・なる」
と思うことです。前者は願望にすぎず、後者は決意をあらわします。

私は人生で二度、他人から見たら博打のような決断をしていますが、その後
その目標に向かって進む時は、成功した自分しか想像できませんでしたし、
その間の労力というのは、一度も「苦労」と感じませんでした。

また、もし失敗で終わったしても、そういった努力は無駄に終わらず、
一回り成長でき、新しい道でまた役に立つと信じています。

投稿: こばコージ | 2011年9月 5日 (月) 21時41分

自分が言いたいことをわかり易く、体験を元に書かれているブログに共感!
うちの学生にも伝えたいことなので、紹介してもいいですか?

投稿: うちむら | 2011年9月 5日 (月) 21時46分

>スピードマスター
入学以来、怪我が多いのが心配ですね。
先日、東京武道館で会ったときには元気そうでしたが。
そろそろ練習に行かなきゃ怒られるので、行きます!

>こばコージ
いつも真の強さと体幹の強さを感じますね。
我が道を突き進んで下さい!

>うちむら
恐縮です。
筑波に進学するきっかけの言葉は先輩の言葉ですからね。
お役に立てるなら光栄です。

>うちむら

投稿: 小室宏二 | 2011年9月 5日 (月) 21時56分

良いメッセージです。とても励みになります。

投稿: 浜本 | 2011年9月15日 (木) 12時48分

>浜本
恐縮です。
最近は自分にも言い聞かせています。

投稿: 小室宏二 | 2011年9月16日 (金) 08時01分

いつも、小室先生のコラムを読ませていただいている45歳の2児の父親です。今回のコラムは、特に印象が残り、初コメントさせて頂きます。小学4年の息子が水泳をやっているのですが、辞めたいと言っている矢先にこのコラムを読んでいたので、噛み砕きがら息子にも読み聴かせました。しばらくふてくされていたのですが、今日の朝、もう一度話をしたら、笑って握手をして学校に行きました。息子には幼少時に柔道をやらせていたのですが、痛いので辞めてしっまた事があるので今回は、なんとか乗り越えてもらいたいもらいたいものです。以前のコラムの「自分の夢を子供に託さない。」も今回と同様に印象に残っています。ちなみに自分は、40歳から柔道を始め、現在は先生の学校の近くにある柔術の道場(一度いらした事があると思いますが。)で柔術をしています。DVDと本も大変参考にしています。

投稿: たむら | 2011年9月17日 (土) 13時17分

>たむら
ありがとうございます。
実はいま、道徳の授業担当になっていまして、形式ばった題材ではなく、
自分自身の経験を通して色々話そうとしているところです。
賛否はあるのですが、先生って「先に生きる」と書くので、
自分の経験を題材にしています。(心まで届いているかは疑問ですが…)
こうやって書いてしまった手前、自分でも言い訳しないよう心掛けているところです。

投稿: 小室宏二 | 2011年9月17日 (土) 21時03分

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