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2011年8月11日 (木)

私が落とした女

これまで、BBM社からいくつもの共著を出版しておきながら、
久し振りに近代柔道の最新号を購入した。

いくつか読みたい記事があったのだが、その一つが有名選手の得意技を解説したものだ。
今回は、大学時代の後輩で寝技師でもある根崎裕子が取り上げられていた。

彼女は市立柏高校時代から全国のトップ選手で、全日本ジュニアや世界ジュニアなど国内外のジュニア大会を総なめにしていた。
特に帯取返を軸にした技術体系は強烈で「根崎スペシャル」と呼ばれていた。

そんな彼女は毎回、過酷な減量をしたり、寝技師だったことなどから私と共通項があり、
よく一緒に稽古をした。

当時、筑波大学は女子が世界的な活躍をする一方で、男子は国内中堅クラスで、
強化選手は私を含め、ジュニアクラスが1~2名程度と低迷していた。
そんな中で、軽量級の私は女子選手の丁度良い稽古相手だったのだ。

女子選手と稽古する場合は、極力力を抜き、組ませてから技をかけるよう心掛けた。
とはいえ、女子の強化選手である、簡単には投げることは出来ないし、
寝技はもう本気で勝負しても良いほどだった。

そんなある日、彼女が寝姿勢から得意の帯取返を仕掛けてきた。
若干、脇が甘かったので私の腕をたすき掛けにし、その腕の袖を掴んだ。
袖車絞のカウンターである。
どちらが有利ともいえない微妙な体勢だったが、徐々に袖車が効き始め体勢が入れ替わった。

私は「抑え込」を完成させ、袖を絞り上げながら彼女の顔色を見た。
すると既に彼女はこの世のものとは思えない表情で、小刻みに震えていた。

落ちたのだ。

彼女は厳しい環境で鍛えられていたため、これまで何度となく絞め落とされており、
いわゆる【落ち癖】がついていたのだ。

状況はどうあれ、私が絞め落としたのは彼女ただ一人、一回のみである。
無論、落としたとはいえ、甘い関係があったわけではない。

誌面ではずい分と謙虚に実績を紹介しているが、それでも全日本女子選手権に出場したり、
生徒を全国中学生大会に出場させたりと、その活躍は現在でも素晴らしいものがある。

写真をよく見るとshine【寝先有効】shine(根崎裕子)と書かれていた。

「有効かよ!」
と思わずツッコミを入れたくなったが、考えてみたら自分の帯にも【5669】と書かれているのだから、似たようなものかもしれない。
Photo

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コメント

アレ、語呂合わせだったのですね。
僕はなんかの言葉なのかと思いました。
ちなみに僕の名前ではロクなのが思いつきませんでした。

投稿: 寝業 | 2011年8月12日 (金) 22時53分

>寝業
良くできた語呂合わせですよね。
寝業さんは「884dash」こんな感じでしょうか?

投稿: 小室宏二 | 2011年8月12日 (金) 23時20分

ところで、「落ち癖」って、一生ついたままなのでしょうか?
それとも、長い間落ちない(落とされない)でいたら、普通に戻るのでしょうか?
落とし落とされという経験がないもので、ずっと疑問に思ってます。

投稿: こばコージ | 2011年9月21日 (水) 17時46分

>こばコージ
まず「落ち癖」の定義が難しいですからね。
私は前回落ちてからもう何年も落ちていません。下手したら10数年落ちていません。
それは落ち癖が直ったと言うより、技術の向上だと思うのですが、どんなもんでしょうね。

投稿: 小室宏二 | 2011年9月23日 (金) 23時01分

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