« 2010 IJF世界グランドマスターズ選手権大会【速報版】 | トップページ | 形と乱取りの融合(IJF世界グランドマスターズ:前編) »

2010年6月 1日 (火)

2010 世界「形」選手権大会を終えて

無事に帰国し、通常の生活に戻りました。

大会が近づくにつれ、ただならぬプレッシャーを感じつつ、現地に入りました。
全5種目制覇は日本柔道の至上命題です。僕らの「固の形」も例外ではありません。

日本ではGWと出発直前に合宿を行い、何度も模擬演技と採点、演技の調整を行いました。
その中で「本当の技の理合い」と「見せるための演技」の狭間で非常にに苦しみました。
多くの先生方に、沢山のことを言われてしまい、混乱してしまったのです。

主に指摘され続けたことは以下の通り。

  • 近間が近い
  • 自然体が自然じゃない
  • 受けの勢いがない

もう何が「自然」なのかすら分からなくなっていました。
そして最終的にたどり着いたのが『自分たちが思ったようにやり抜く』という
ある種、開き直りの境地でした。
そこからは、自分たちのスタイルも確定し、不安に思うこともありませんでした。

「受けに勢いがない」というのは、高野先輩が体力を温存していただけなので、
それほど心配していませんでした。
更に本番ではいつもの2割り増しで動いてくれます。
事実、IJFからもらった写真では、高野先輩が一瞬浮くほど、激しく動いています。
Simg064

心地よい緊張感と抜群の集中力で、予選をトップ通過した僕たちは、
自信を持って決勝の舞台に臨みました。

そこに山場があったのです。
決勝の演技中、絞技が終わった場面です。
僕が定位置に戻り、位取りをして服装を正す動作するとき、
一瞬『あれ?戻る位置が遠かったかな?』と思いました。
その場面の距離を、どうこう考えることはあまり重要ではない場面です。
そして次の一瞬『あれ?次に何をしたらいいのだろう?』頭が真っ白になります。

世界選手権決勝の舞台、いつも気にならないことが気になり、一瞬パニックになったのです。

その時フッと前を見ると、いつもは見ないような鋭い眼光が僕を見つめていました。高野先輩です。
後日談ですが、先輩は僕の視線が彷徨い動揺した一瞬を敏感に察知したそうです。

『大丈夫だ!落ち着け』

高野先輩はじっと僕を見据え、ゆっくりと僕を促すように服装を正しました。
そこでようやく僕は我に返り、次の動作に移りました。

視線を交わしたのはほんの一瞬で、1秒にも満たないような時間です。
ビデオでも確認はできませんでした。
でも確かに僕は、高野先輩とアイコンタクトで意思の疎通を図ることができました。
あの時、そのまま慌てていたらと思うと、ゾッとしますsweat02

絶対的な世界王者だった先代の中橋先輩&松本ペアが引退し、僕たちが代わって代表になりました。
松井勲監督曰は今回の結果をこう振り返りこう語っていました。
「投は心配だった。固はあきらめてた。」

ユーモアと毒に満ちあふれた賛辞が印象的です(笑)
Ebihoreanul_ro_ae516465ac362506d844

高野先輩は「中橋ペアは受けを表現している、俺たちは小室の取りを表現する」
と言ってくれました。
東京予選、全日本、代表選考会、世界選手権と4戦全勝(負け無し)で
世界のトップに登り詰めました。辰吉丈一郎よりも早い王座奪取です♪
結成して僅か1年程度のペアでですが、お互いを尊重し、長所を発揮し、
個性のあるペアに仕上がっていったと思います。

来年はブラジルでの開催が検討されているようです。
まずは東京都の選考会、全日本2連覇、そしてブラジルです!

予選の演技はこちらをご覧下さい→ YouTube

また大会の公式記録はこちらのPDFファイルでご覧になれます。

|

« 2010 IJF世界グランドマスターズ選手権大会【速報版】 | トップページ | 形と乱取りの融合(IJF世界グランドマスターズ:前編) »

動画」カテゴリの記事

海外」カテゴリの記事

試合について」カテゴリの記事

コメント

世界一になって満足するのではなく、すでに二連覇することを
考えているとは!私だったら勝ち逃げするところですcoldsweats01
常に向上心を持つことの大切さを、再認識させられる言葉です。

投稿: こばコージ | 2010年6月 1日 (火) 19時14分

>こばコージ
ブラジルまで行ったら、マイルが貯まるんじゃないかなと(笑)
南米方面はまだ行ったことがありませんから。

投稿: 小室宏二 | 2010年6月 1日 (火) 21時37分

興奮しました!
全日本の動画と見比べさせてもらいましたが、
素人目にも違いを感じました。
最高のお手本をありがとうございます!

投稿: Y | 2010年6月 2日 (水) 00時32分

帰国してすぐに試合なんですね。怪我には気をつけてくださいね!動画を見たのですが、「固めの形」でも迫力を感じました。見ていて私まで緊張しちゃいました。小室さんもカッコイイけど、高野さんもカッコイイです!最高のペアですね。やっぱり高野さんの受けも逃げ方というか、動きが決められているのですか?
とにかく、改めておめでとうございます!!

投稿: へたれパパ | 2010年6月 2日 (水) 03時07分

なんかこれ読んでジーンと来た。
今思うと本当に勝ててよかった。
さて、ブラジルでも行っちゃいますか?

投稿: たかの | 2010年6月 2日 (水) 08時48分

>Y
そうですね、全日本よりも成長したのは明らかだと思います。
あれから継続して練習をしましたので。

>へたれパパ
逃げ方、本当は自由なんですが、殆ど決まっているようなもんです。
その決まった動きを、よりリアルに、躍動感ある動きで表現しないといけないんですよね。

>たかの
負けていたら本当に大変でしたよね。
僕はもうブラジル行く気満々です。ただ最大の難関は東京都選考会sweat02

投稿: 小室宏二 | 2010年6月 2日 (水) 22時04分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/26087/48502524

この記事へのトラックバック一覧です: 2010 世界「形」選手権大会を終えて:

« 2010 IJF世界グランドマスターズ選手権大会【速報版】 | トップページ | 形と乱取りの融合(IJF世界グランドマスターズ:前編) »