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2009年9月22日 (火)

技術の習熟度

これまで、私が何度となく言われ、また生徒にも伝えている言葉があります。
ここでもおさらいとして記しておこうと思います。

技術の習熟度には3段階あります。

  1. わかる
  2. できる
  3. 使える

「わかる」というのは、その技術の理合いや、タイミングなど、頭の中で理解できることです。
柔道経験が浅い方などは、袖車絞など、どこがどうなっているのか見当も付きませんが、
経験によって、それが判るようになってきます。

「できる」というのは次の段階で、実際の動いて出来るということです。
歳をとると、「わかる」と「できる」の間に、もどかしいほどの隔たりが生じるようになります。

「できる」は細かく分けるといくつかあります。
1.技の反復(打ち込み)でできる
2.動きのなかでできる
3.乱取り稽古でできる

乱取りでできるなら、最後の試合で『使える』のもすぐだろう。と、思いがちです。
そう簡単にいかないのが実戦です。

相手も、自分も最大限の力を発揮します。
時には、自分自身、必要以上のパワーを発揮します。
それが逆に「力みすぎ」を生み出してしまいます。

相手も予想外の動きをすることも多々あります。練習通りには動いてくれません。
寝技においては、寝姿勢への移行も制限されていますし、寝勝負自体の
時間的制約も厳しく、そこまで厳しく制限した練習をしている人も滅多にいないでしょう。

だから、練習で使えたとしても、試合で使えるかは別問題です。
そしてその狭間は、思っている以上に大きく隔たりがあります。

では「できる」状態から「試合に使える」までに上達されるにはどうしたらいいか。

まず必要なのは、様々な状態を想定した反復練習をする。

1.組み勝った姿勢から相手を潰し、寝技に移行して攻める
2.相手の技を捌き、潰して攻める
3.投げたあと、相手が逃げるところを寝技で攻める

などなどです。
いかに自分の試合展開と似た状態で取り組めるか、それが鍵になるでしょう。

そしてもう一つ大切なのは、自分自身、オリジナルの要素を盛り込む、ということです。

自分自身の話ですが、僕も横三角や帯取返など、人並み以上に「できる」段階にあります。
練習では、けっこう極めることがあります。

しかし、試合で極めるのはもっぱら袖車絞、横返しからの肩固、腕挫十字固ばかりです。
柔術ではそれにコムロックが加わる程度でしょうか。

それらの技術には、オリジナルの要素が組み込まれているか否かにあります。
平爺に教わった袖車絞とコムロックも、教わったときよりもかなりアレンジされています。
春日ロックなどは自分で創作したものなので、すぐに試合で使えてしまいます。
逆に横三角や帯取返は、まだ教わったままの原型状態です。

完全に技術を自分のものとして取り込み、その上でアレンジしていく。
そこまでいくと、きっと技術は身体に染み込み、試合で使えるまでに洗練されていくでしょう。

ある時、技術は対策が練られて利かなくなるときがあるかもしれません。
そこで諦めず、じっくり取り組むことで「本当に使える技術」
が身に付くのだと思います。

一技3年(ひとわざ3年)、そんな言葉もありますからね。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

凄い参考になりました。
この仰せを子供達の指導にいかせられるよう考えて行きたいと思います。

DVD予約させていただきました。
楽しみです。

投稿: kazu | 2009年9月22日 (火) 21時05分

>kazu
このコラム、思いの他好評ですね。
元は大学の授業ですが…
子供たちにも言って聞かせてあげると、意識も変わりそうですね。

DVD予約ありがとうございました。
必ずや満足できる作品にしますので!

投稿: 小室宏二 | 2009年9月22日 (火) 23時31分

先日はありがとうございました。
生徒たちも刺激をかなり受けたことと思います。
「わかる・できる・使える」は中村良三先生のパクリです。
寝技の打ち込みというのが今では当たり前ですが、僕らが学生の頃は斬新で、中村先生がよくおっしゃっていました。

投稿: たかの | 2009年9月23日 (水) 12時27分

すいません。
寝技の打ち込み?練習方法を教えて頂けないでしょうか。
私がお手伝いさせて頂いている柔道少年団では寝技の指導があまりされていなく私が入って初めてエビの蹴り足を上になった足でやるように指導しました。
これまでの指導者は教えてもらった事がなかったそうです。
ぜひ寝技の打ち込みをさせてみたいと思います。

投稿: kazu | 2009年9月23日 (水) 17時10分

>たかの
僕も良い練習させてもらいました。また行かせて下さい。
中村先生が言っていたんですね。さすがは教授!
>kazu
寝技の打ち込みはDVD上巻に収録されています。
小中学生に『これだけは!』という体捌きが身に着くものばかりです。
案外、今回のDVDではこの基本動作が裏メインかもしれません。
お楽しみに!

投稿: 小室宏二 | 2009年9月23日 (水) 22時17分

いつも楽しく読ませてもらってます

とても参考になる話です
勉強になりました
ありがとうございます

とてもいい話なので
そのまま子供達にも話したいと思います
(スイマセン、パクらせてもらいます)

投稿: ピカリン | 2009年9月24日 (木) 09時01分

>ピカリン
どうぞパクッて下さい。
意外とこの記事、好評でしたね。
みんな知ってると思い込んでいました。

またこんな感じの記事で思い付いたら書いてみますね。

投稿: 小室宏二 | 2009年9月24日 (木) 22時48分

いつも拝見させてもらっています。
今回の話、すごく納得させられて感動しました。さっそく子供に教えました。
1.わかる。2.できる。3.使えるの3段階は、柔道だけでなく、すべての技術習得に通じますね。特に、「使える」ようになるためにはオリジナルの工夫が必要!というのは、目からウロコでした。逆にいうと、本当に身についたものは、いかようにでもアレンジできる。ということではないでしょうか?

投稿: まつした | 2009年9月25日 (金) 13時55分

>まつした
>逆にいうと、本当に身についたものは、いかようにでもアレンジできる。

そうだと思います。守破離ってやつですね。
「使える」までには沢山練習していかないといけません。
その上での一工夫です。

投稿: 小室宏二 | 2009年9月25日 (金) 21時18分

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