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2008年11月24日 (月)

焼き場に立つ少年

話し好きな母とは対照的に、父はあまり昔のことを話さない。

ある年、日本武道館に柔道の試合を見に行った帰り、靖国神社に寄った。
父は「ここには爺さんのお墓があるんだぞ」と言った。
単純な僕は「こんな大きなところに!スゲー!」と思った。

僕にとってのお爺さん、つまり父の父は、戦争に行ったまま帰ってこなかった。
それは父が産まれて間もなくだった。父は母子家庭で育ったと、後になって気付いた。

父は芋類が嫌いだ。
嫌と言うほど食べさせられたらしい。

「じゃあ俺も寿司が・・・」ぶっ飛ばされると思って、言うのを止めた。

終戦から60数年が経ち、戦争を体験した世代は少なくなる一方、
僕らは戦争のことなど、サッパリ分からない。
海外での戦争だって、まさに対岸の火事だ。
テレビで流される報道は、まるで映画のようにしか見えない。

講道館と袂を分かち、独自に寝技を進化させた高専柔道、
これもまた戦争の被害者に他ならない。寝技の進化は、戦争によって足止めされた。

たまたま戦時中の資料と、高専関係のことを調べていたら、こんな写真を見つけた。

ジョー・オダネル「焼き場に立つ少年」

191218syounen

(一部引用)
火葬場に幼子を背負い、やってきた少年は裸足のまま直立不動だった
身じろぎもせず、炎を見つめ、他だじっと立ち尽くし、唇を噛み締めていた
やがて大人達が背負っている幼子を抱き上げ、そっと炎の中に・・・・
その時私は幼子が既に死んでいたことに気付かされた。

読んでいて身震いがして、涙が出た。
こんなにも強い少年がいるのかと、驚かされた。
悲壮なまでの決意、覚悟が身体から滲み出ているように見える。

柔道の究極の目的とは、柔道修行によって心身を鍛練し、
自己を完成し、世を補益する(社会の役に立つ)ことにあるという。

この世代に人達は、日本を立て直す、家族を守るというような
色んなモノを背負って生きて来たんじゃないかと思う。
だってみんなパワフルだし。

子供にも、大人にも、お薦めの一冊です。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

はじめまして
いい日記を読ませていただきました
戦争はすべてが被害者になってしまうものだと思います
自分も好きで戦争関連の書籍を読んだりするのですが…
読めば読むほど戦争は虚しいものと感じます

投稿: 陸奥 | 2008年11月25日 (火) 13時50分

こんなに小さい子が気丈に振舞う姿はすごいですね。
戦争がどんだけ悲惨だったかなんて想像もつきませんし、この先も知る事はないと思います。

自分自身改めて、この平和な世の中で好きな事をやっていられるって事にもっと感謝しないといけませんね。

投稿: あひる艦隊 | 2008年11月25日 (火) 17時27分

>陸奥
ちょっとブルーな気持ちになってしまいますが、学ぶべきところは多いと思います。
それと今の環境がどれだけ恵まれているか、感謝しなければいけませんね。


>あひる艦隊
当時、独特の教育のせいかもしれませんが、それを差し引いても強いですよね、この子。
無言なのに、もの凄く強烈なメッセージが込められているのを感じます。

投稿: 小室宏二 | 2008年11月25日 (火) 22時37分

靖国神社ですか・・・名前だけで辛いですね。

小室先生は地元ですから、靖国神社が建設されたいきさつはご存知だと思います。
私ら岩手県民にとって、靖国神社は最も関わりたくない場所であることは小室先生にもご理解いただけるでしょう。
140年前の戦争でもこれだけ辛いのですから、まして70年前の戦争の記憶はまだまだ新しいでしょう。
柔道の精力善用・自他共栄の理想は、とても重要なことだと思います。

宮司職をやってる南部の御館様をお見かけしたら宜しくお伝えください。

投稿: 岩谷堂高校柔道部 | 2008年12月 1日 (月) 11時47分

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