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2008年5月 7日 (水)

平田鼎-寝業研究会-伝説編

ラオスでお世話になった菊地先生が一時帰国しています。
そして僕に『平田鼎先生の追悼集』をくれました。

平田先生が亡くなられてもう10年くらいが経ちます。
そこで僕も、この追悼集をきっかけに平田先生について書いてみようと思います。

Sen3平田先生はこんなお爺さんでした。

平田先生との出会いは小学6年生の時でした。
東京・北区にある佑道館に所属していた僕は、
足立3中への進学を決めていました。

足立3中では実質、部活は行っていなくて、
部員は足立学園に移動し、高校生と練習していました。

なので僕も、佑道館の万代(まんだい)先生に連れられ、
足立学園に出稽古に行きました。
そこに平田先生は来ていました。

万代 「平田先生、この子をお願いします!」
5669 「お願いしますhappy02
平田 「お~お~任しとけ」

そんな会話があったことを覚えています。
そんな縁があって、僕は平田先生に可愛がられました。
可愛がられたと言っても、ご飯をご馳走になったとか、
お小遣いをもらったとか言う「可愛がり」ではなく、
『時津風部屋の可愛がり』と同じようなモンです。
 ※ビール瓶で殴られたりはしませんでしたけど・・・

僕たちは平田先生のことを平爺(ひらじい)と呼んでいました。
何気に徳原先生もコッソリ「平爺」と呼んでいました。

平爺伝説は沢山あります。
伝説のいくつかをご紹介しましょう。

>手ぬぐい
平爺は練習後、かならずシャワーを浴びます。
足立学園の道場は2階、シャワー室は1階です。
その間、道場からシャワー室まで手ぬぐい1つで移動します。
ほぼ全裸に近い格好です。

足立学園が男子校とはいえ、お母さんが来ることもありますし、
女性教諭もいます。僕らの時代は先の選抜体重別(女子78kg級)で
準優勝した平岡麻美選手もいました。
それでも手ぬぐい1つで校内を闊歩するのです。

ある時、平爺と剣道部の顧問が、シャワー室で一緒になりました。
平爺は腰が曲がり、よたよたと歩くのですが、不意に床に滑り、
大きく転倒しました。

『あ、死ぬ!』

剣道部の顧問(近藤先生)が思った瞬間、
パチーンという音と共に、受身をとった平爺がすっと立ち上がり、
何食わぬ顔で歩き出したそうです。

>戦争体験
ある先輩から、平爺の戦争体験を聞きました。
戦地で、銃の弾が切れ武器も失い、敵兵と相対したそうです。
平爺は咄嗟に引き込み、三角絞で相手を絞め落とし、難を逃れたとか。
この伝説は多分、眉唾です(笑)
でも、そんなことを高校生は信じてしまうほどの寝業師でした。

>クリーニング事件
平爺は道衣を洗わない人でした。
日が経過すると、それはもう溢れた牛乳を拭いた雑巾のような匂いすらしました。
当然、高校生は乱取りするのを嫌がりました。
だって臭いし、絞め落とされるから。

本人も、道衣の臭さに耐えかねると、平爺係(そういう係がありました)に
道衣の選択を頼むのです。僕の同期では、ヒロナリが平爺係でした。
Photo
ある時、平爺の道衣が見あたりませんでした。
平爺が来たら、すぐさま干してある道衣を差し出さなきゃなりません。
ヒロナリは焦り、咄嗟にキクちゃんの道衣を貸してしまいました。

平爺は昔の人です。
道衣のズボンはスパッツなんか穿きません。直です。

キクちゃんは怒りました。
キク「なんで勝手に貸すんだバカヤロー!」
ヒロ「だって無かったんだから仕方ないじゃないか」

そんなやりとりの末、ヒロナリが洗濯することで落着しました。
但し、洗濯機ではなくクリーニングに出して、アイロン掛けまでさせること。

僕らは道衣をクリーニングに出すなんて、聞いたこともなかったので、
大笑いしていました。
それでもクリーニング店に持っていったヒロナリ。
なんと引き受けてくれたそうで、キクちゃんの道衣はキレイにアイロン掛けされ、
戻ってきました。

>平爺ビデオ

ある時、誰かが「平爺がビデオ出したらしいよ」と言いました。
僕たちは大笑いし、誰一人としてそれを信じませんでした。


本当に僕たち、もちろん僕自身、卒業するまで平爺の偉大さを知りませんでした。
寝業好きの爺さん、話し好きの爺さん、たまに変な技を魅せる爺さん
その程度の存在でした無かったのです。

だから有名選手のように、ビデオを出すなんてあり得ない!
そう思って誰も信じなかったのです。

まさか本当に出していて、それ以前に、ある方面では神格化されるほど、
寝業の大家だとは知る由もありませんでした。

ただこのDVDを見て思ったことは、このDVDがあるから、
平爺が亡くなっても技術(映像)は消滅しない
とい思ったのです。

これは僕にとって強烈な印象を残しました。
だからこそ、僕も身体が動く今のウチに、
技術を解説し、それを自ら披露したものを
形に遺しておきたい。そう思ったのです。

少し大げさな話しではありますが、
今日、交通事故か何かで僕が死んだとしても、
コムロック、袖車絞といった技術はある程度、伝承されていく。
特に柔道界では山嵐なみに消滅しかかっている
袖車絞という技術が、実戦的な技術として紹介され、
またそれを実践で極めた映像として残っている。
それって結構、重要なことだと思っています。

最後に、僕が寝業で施している技術はそう多くありません。
袖車絞、コムロック、あとは腕挫十字固と横四方固くらいでしょうか。

柔術を学び、色んな技術を吸収してきましたが、
結局、今現在、僕が一本を取れる技術は
平爺から教わった高専柔道の技術が殆どです。

そう思うと、平爺には感謝しきれない部分と、
高専柔道の奥深さを感じずにはいられません。

次回は僕も、平爺へ追悼文を書きたいと思います。


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コメント

平田先生に師事されてたことはしっていましたが、
やはりすごい方だったんですね。
私もこのビデオみて寝技すきになりました。
お風呂場のエピソードもさすがですね。
続きも楽しみにしています。

投稿: たみちゃん | 2008年5月 7日 (水) 18時05分

久々に投稿しました。(前は携帯からでした。)
平爺の名前が出て懐かしく思い、投稿しました。
確かよく浅○が平爺の真似をしてたの思い出した。
(※ヤン○の真似は、皆してた気がしたけどね♪)
それより、何だ!?ヒロナリ~何キロあるんだ???
もしあの写真だけ掲載しても、名前付きじゃないと分からなかったぞ!?
って言うか俺も人の事言えないけど・・・

投稿: satoken | 2008年5月 7日 (水) 19時32分

戦争体験の話、思わず抱腹しちゃいました。

投稿: 寝業研究家 | 2008年5月 7日 (水) 22時10分

>たみちゃん
これでも書くことが多すぎて、間引いたくらいです。
こんな爺さんが身近にいて、僕はラッキーでした。

>satoken
先輩!ご無沙汰しています。書き込みありがとうございました。
ヒロナリは今120kgくらいあるんじゃないですかね。
奥さんのご飯が美味しいそうですdash

>寝業研究家
もしかして実話ってことはないですよね?(大笑)
本日はお疲れ様でした。
また是非いらして下さい!
電話応対が僕だったときは笑っちゃいましたねgood

投稿: 小室宏二 | 2008年5月 8日 (木) 00時37分

別件で恐縮ですが、5月10日~11日に上京します。
講道館で何かやってますか(見学できますか)?

投稿: 田舎の指導者 | 2008年5月 8日 (木) 04時45分

>田舎の指導者
5/10(土)16:30から大道場で指導をしています。
5/11(日)8:00から3大会(都女子、都青年、都高段者)開催しています。

いずれも8階観覧席から見学できますよ。

投稿: 小室宏二 | 2008年5月 8日 (木) 07時48分

大人では恐縮してしまうほどの偉大な先生でも
子供って全然関係ないんですね。
そのうち先生のこともコム爺なんて呼ぶ子が出てくるんですかね。
すでに我が家には先生の袖車絞めに魅了されてる坊主が一人おります^^

投稿: tatya | 2008年5月 8日 (木) 10時43分

俺も道衣の下、何もはきませんが。
ちなみに、パジャマの下も何もはきませんが。

投稿: たかの | 2008年5月 8日 (木) 12時24分

>tatya
子供・・・知らないって恐ろしいですよね。
はい。既に平爺のような歩き方になっているそうです。。。

>たかの
僕は道衣の下にはスパッツ穿かないと、収まりが悪くてダメです。
逆に寝るときはノーパンですheart04

投稿: 5669 | 2008年5月 8日 (木) 14時26分

次回を楽しみにしております!

投稿: 和良 | 2008年5月 8日 (木) 20時07分

小室先生、お久しぶりです。
お嫁さん探しはどうなりましたか?

で、平田先生って、私から見たら神です。神。
小室先生はさしずめ神の子。

投稿: 鈴木@岩谷堂高校 | 2008年5月11日 (日) 21時03分

>和良
鋭意作成中ですので、お楽しみに。
和良さんの文も拝読させていただきました。
気持ちが凄く伝わってきました。

>鈴木@岩谷堂高校
神の子ですか。うちの母さんが複雑な顔しそうですね(笑)
ところで、嫁さんは探していますが、
ストーカーに悩まされております。。。sweat02sweat02

投稿: 小室宏二 | 2008年5月12日 (月) 00時17分

岩手に移住する覚悟が決まったらお電話くださいませ。<お嫁さん

投稿: 鈴木@岩谷堂高校 | 2008年5月12日 (月) 21時19分

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